7月23日|AI時代の採用・人事(HR)活用セミナー・情報交換会 詳細レポート

2026年7月23日、リユース転職では「AI時代の採用・人事(HR)活用」をテーマに、少人数制のセミナー・情報交換会を東京駅付近の会議室で開催しました。
AIの浸透により、採用や人事業務は大きく変わり始めています。
一方で、「どこまでAIに任せるべきか」「人が担うべき仕事は何か」「個人情報や採否判断をどう扱うか」など、実務上の悩みも増えています。
今回は、Google・楽天など先進企業での活用事例や、採用現場での具体的なAI導入方法を共有しながら、参加者同士でも課題や疑問を持ち寄る情報交換の場としました。

Ⅰ. 全体概要・オープニング

開催背景
AI時代の到来に伴い、人事・採用体制や業務プロセスに大きな変化が生じている。

目的
先進企業の取り組み(Google、楽天等)や実務での活用事例を紹介しつつ、一方的な講義形式ではなく参加者同士の疑問・課題感を共有・解決する情報交換の場とする。

セッション構成
第1部: 先進企業(Google・楽天)におけるAI活用の現場と人事に求められるマインド
第2部: 採用実務での具体的なAI活用手法・導入プロセス(ゲストスピーカー:株式会社クルーライズ 石田武志 氏)
第3部: 情報交換会・質疑応答・名刺交換(リアルな課題解決とネットワーク構築)

Ⅱ. 第1部:先進企業のAI活用事例と人事(HR)の役割

1. 先進企業(Google・楽天)のAI活用現場
過去のHRコミュニティセッション(Google日本法人 山本氏、楽天グループ CHRO 黒田氏登壇)での議論を踏まえた活用事例と示唆。

【Googleの取り組み】
AIコーチング(キャリアのGPS機能)
社員一人ひとりの過去の経験、研修歴、前職キャリア、目指すゴールなどをAIに入力。
現在の立ち位置(現在地)と目標(目的地)に対する「キャリアのGPS」として、不足しているスキルや積むべき経験を提示する。

定着・退職兆候の検知
日常業務で扱うドキュメントやコミュニケーションデータの変化から、退職リスクやコンディション変化の兆候を抽出。
※プライバシー配慮や運用基準の整理が必要であり、現在は慎重な実証・テスト段階。

AIと人間の役割分担
データ・分析・客観的アドバイス = AI の役割
人に影響力を与え、共感を生むコミュニケーション = 人間(上司・先輩) の役割
AIが画面上で「こうしなさい」と指示するよりも、日頃から信頼関係のある上司・先輩が対話を通じて背中を押すことで、初めて人は動く。

【楽天の取り組み】
ITリテラシーの推進策(AIアンバサダー制度)
「IT企業だから全員のリテラシーが高い」わけではなく、現場ではAI利用に抵抗感がある層も一定数存在する。
部署ごとに「AI拒否感アンバサダー/推進役」を配置し、アナログ作業をしている社員に「AIを使っていこう」と声をかけるなど、草の根的な推進活動を実施。

社内公募とリスキリング
挑戦したいポジションに対し、必要なスキル・経験と現状のスキルの差分(ギャップ)を提示し、学び直し(リスキリング)へ繋げる。

AIの特性と人間による動機づけ
AIはユーザーに配慮し「やりたいこと」を肯定しがち(共感・耳ざわりの良い回答をしがち)。
しかし、ビジネスで最大の成果を出すには「やりたいこと」だけでなく「成果を出すために必要な努力」への動機づけが必要であり、そこは人間による導きが不可欠。
経験や実務を通じて身につくスキルは、AIを見ているだけでは獲得できない。

2. AI時代に人事・マネージャーへ求められる資質
全人的な関わり・影響力
技術や論理(データ)だけでは人は動かない。
日頃のコミュニケーションや信頼関係を築く「人間の幅(全人的能力)」がより重要になる。

人事に一番必要な資質は「好奇心(Curiosity)」と「教養(リベラルアーツ)」
人事のテクニカルな実務(労務手続きや規定運用等)だけに留まると、AIに代替されやすい。
幅広い領域に好奇心を持ち、リベラルアーツ(教養)を身につけることで、社内スタッフに対してAIには真似できない人間味のある助言・導きが可能となる。

Ⅲ. 第2部:採用現場でのAI活用と導入のポイント

登壇者:株式会社クルーライズ 石田武志 氏

1. 採用プロセスにおけるAI適用範囲と役割分担
採用プロセスにおける「業務の手間削減」と「人間とAIの役割分担」の整理

プロセスAIの適用可能性具体的な運用・活用のコツ
求人票・スカウト文作成自動化(〇)数分で下案を作成。人間は「確認・微調整」のみを行う。
応募受付・初期返信一部効率化一次受けや定型返信の自動化。
書類の初期振り分け自動化(〇)必須条件の不一致、記載漏れ、実在チェック等のスクリーニング。「要確認」として抽出し、最終確認は人が行う。※合否判定自体はAIに任せない。
面接日程調整自動化(〇)各社システムやカレンダーと連携し自動化(人が介在しない)。
面接・合否判断手伝い・判断は人面接の要約・評価メモ作成はAIで効率化。面接を通じた「魅了付け(エンゲージメント向上)」や採否判断は人が行う。
配属・適性整理自動化(〇)スキルや適性の整理、向き・不向きの客観的分析に活用。

なぜ「判断(採否)」は人間が行うべきか?
責任の所在
AIは結果に対して責任を取れない。「なぜこの人を採用したのか/不採用にしたのか」のストーリーと責任は人間が持つ必要がある。

人間味による意思決定
中小企業をはじめ、面接で出会う「人(面接官)」への信頼が入社意欲の決定打になるケースが多く、面接官の魅力付け機能は代替できない。

2.失敗しないAI定着のための4ステップ
使いたいところにいきなりAIを組み込むのではなく、段階的なプロセスを踏むことが成功の鍵。

ステップ1:可視化(仕事の洗い出し)
業務内容を洗い出し、不要な会議や重複業務を見つける。

ステップ2:無駄の削除・集約
やめる業務を決め、類似した業務を1つにまとめる。

ステップ3:やり方の標準化(型化)
残った業務の手順や判断基準をマニュアル・ルール化する。

ステップ4:AIの正しく安全な導入
綺麗なデータと守るべきセキュリティルールを整えた上で、AIを組み込む。


3. 個人情報保護・セキュリティ対策
個人情報のマスキング徹底

氏名、連絡先、特定の個人が識別できる情報を伏せた状態(マスキング)にしてからChatGPT等の外部AIにデータを渡す運用を徹底する。

社内AI利用規約の整備
「情報漏洩のリスク」や「人事評価をすべてAIがやっているのではないかという社員の不信感」を招かないよう、運用ルールと透明性を確保する

4. 採用選考におけるAI活用の「落とし穴」と対策
過去データへの過度な引っ張り(型のハマり)

AIの点数付け・順位付けは強力だが、過去の平均的な採用データに引っ張られ、既存の枠に収まらない「ユニークで優秀な人材」を弾いてしまう可能性がある。

不合格確定にはAIを使わないルール
AIは順位付けやスクリーニング補助に留め、「AIの判断のみで不合格にする」ことは避ける。
「落ちそうな人の見直し」「不合格にした人の定期点検」など、人間によるダブルチェック構造を維持する。

5.企業規模別の導入スピードの違い(大手 vs 中小)
大手企業

全社的なセキュリティ規定や準備が必要で導入に時間がかかるが、スケールメリットが大きい。

中小企業
経営者との距離が近く、現場判断の速さと身軽さがあるため成果が早く出やすい。人手不足の現場ほど、AI導入による工数削減効果が絶大である。

Ⅳ. 総括・まとめ

1.AIの得意領域と人間の強みを切り分ける
AIは「集計・データ分析・文章作成・一次仕分け・スケジュール調整」など作業効率化で威力を発揮する。
人間は「共感・動機づけ・全人的コミュニケーション・採用の意思決定・責任」を担う。

2. プロセスを整えてからAIを入れる
AI導入の前に「業務の整理(無駄の削減)」「標準化(型化)」が必須。

3.ルールと安全性の確保
マスキングによる個人情報保護と、採用の透明性・責任所在を明確にすることが継続的なAI活用の基盤となる。

Ⅲ. 第3部:参加企業同士の情報交換会

後半は、参加企業同士で日頃のAI活用状況や採用・人事業務の課題について情報交換を行いました。
各社の取り組み状況や「どこからAI活用を始めるか」といったリアルな悩みも共有され、業界内だからこそ得られる具体的で有意義な意見交換の場となりました。


Ⅳ .アンケート結果の共有

参加者10名のアンケートでは、全員が「有意義だった」または「非常に有意義だった」と回答しました。

コメントで特に多かったのが、
・同業他社のAI活用事例・活用状況を知ることができた
・他社の採用課題や取り組みを直接聞けた
・AI導入・推進の進め方についてヒントを得られた
といった声です。

具体的なアクションとしても、「面接後のフィードバック」「議事録作成」「社員管理」などにAIを活用してみたいという声が挙がりました。

2026年8月8日
株式会社AMBソリューションズ

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