リユース業界を取り巻く環境は日々変化しており、企業が持続的に成長するためには、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮できる環境づくりが不可欠です。
従業員のキャリア開発には3つのステップがあります。 1つ目は「個人のキャリアを描く」です。具体的施策として「1on1」がありました。2つ目は「個人が自分のスキルを磨く」です。それを企業としてサポートする施策として「人材育成・研修制度」についてお話をさせていただきました。
今回は 最後3つ目として、「ポジションの提供と適材適所の配置を行う」です。それを施策として「多様な働き方を認める柔軟な制度」についてお話をします。
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キャリア形成を促進する3ステップ
キャリア形成を後押しする柔軟な制度
従業員のキャリア形成を促進するためには、企業が積極的にサポートしていく必要があります。時間的・精神的なゆとりがなければ、スキルアップや新しい経験を積むことは困難です。企業がサポートしてくれない、日々の業務に追われているといった状況では、キャリア形成は難しく、離職の要因にもなり得ます。
ポジションの提供においては、組織の作り方やポジション設計にも注意が必要となってきます。
従業員が主体的にキャリアを築く時代においては、組織の枠組みも見直す必要があり、従来のピラミッド型組織の形式に囚われることなく、組織の柔軟性を保ちながら、個々のキャリアに応じたポジションを提供していくことが重要です。
そこで重要となるのが、多様な働き方を認める柔軟な制度です。
働き方改革、「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」といったキーワードを念頭に、従業員それぞれの状況に合わせた多様な就業形態を整備し、誰もが能力を最大限に発揮できる環境を整備する必要があります。
※「ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン」とは、従来、企業が取り組んできた「ダイバーシティ&インクルージョン」に「公平/公正性(Equity)」という考えをプラスした概念です。 多様な人が働く組織の中で、それぞれの人に合った対応をすることで、それぞれがいきいきと働き、成果を出し続けるための考え方とされています。(参考:公益財団法人日本生産性本部HPより)
具体的には、在宅勤務、フレックス勤務、時短勤務、副業の可否など、検討すべき点は多岐に渡ります。中小企業では難しい点もあるかもしれませんが、まずは自社の状況を把握し、従業員が働きやすい制度を積極的に取り入れていくことが重要です。
社内副業でキャリア形成を促進
多様な働き方の一つの事例として、社内副業は効果的な制度です。
メインの業務に加えて、別の部署の仕事や新規プロジェクトに携わることで、新たなスキルを習得し、キャリアの幅を広げることができます。
希望する部署の仕事を20%程度担当させる、といったように、段階的に導入することも可能です。
社内副業制度を導入する際は、まず従業員の意欲を把握することが大切です。
従業員が希望するキャリアやスキルアップの方向性を把握するためには、1on1ミーティングや上司・部下間の綿密なコミュニケーションが不可欠です。その上で、社内副業で適切なポジションに配置することで、従業員と企業の双方にとってWin-Winの関係を築くことができます。
リユース企業が取り組むべきこと
リユース企業では、店舗スタッフ、バイヤー、EC担当など、様々な職種の方が働いています。それぞれの職種において、キャリアアップの機会を提供することは、従業員のモチベーションを高め、企業の成長にも繋がります。
2024年は「キャリア開発」をキーワードに様々な観点からお話をしてきました。
従業員のキャリア開発をするステップとしては3つです。
STEP1.個人のキャリアを描くために「1on1」を活用する
将来の幹部候補生や専門性の高い人には、できるだけ早く具体的なコミュニケーションを取っていくことも重要です。その人のためにポジションを将来的に用意するという前提で、できるだけ早く経営サイドからの強い働きかけをするということもしっかりやっていった方がいいでしょう。
STEP2.個人が自分のスキルを磨くために「研修制度」を活用する
新卒研修、階層別の研修、実際の業務に必要なスキル(査定・真贋など)を学習する業務研修、DXやダイバーシティ、コンプライアンスといったテーマ毎の研修など、研修体系と全体の人材育成に対する会社の姿勢を示すことになり、今の厳しい採用環境下でプラスに働きます。
STEP3.「ポジションの提供と適材適所の配置を行う」
多様な働き方を認める柔軟な制度として具体的には、在宅勤務、フレックス勤務、時短勤務、副業の可否などがあります。また、社内副業で適切なポジションに配置することで、従業員と企業の双方にとってWin-Winの関係を築くことができます。
まとめ
これらの取り組みを通じて、従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の活性化につなげることができます。
「食わず嫌い」にならず、まずは「やってみる」ことから始めるのが、成功への第一歩となるでしょう。
新しい制度を導入する際には、不安や懸念が生じることもあるでしょう。
「在宅勤務にしたらサボるのでは?」
「副業を認めたら情報漏洩のリスクがあるのでは?」
といった心配も当然です。
しかし、実際にやってみないと分からないことも多く、頭で考えている懸念と現実のギャップがあるかもしれません。まずは小さく始めてみて、効果と課題を検証しながら改善していくことが重要です。
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<この記事を書いた人>
株式会社AMBソリューションズ
藤野 匡生(ふじの まさお)
大学卒業後、メガバンクへ入社。産業アナリストとして小売・サービス・不動産業の分析や国際金融担当のチーフマーケットエコノミスト、経営企画部にて新会社設立準備及び経営企画に携わる。
その後、不動産ベンチャー企業に入社。経営企画責任者として、2005年に東証第一部に上場を果たす。
その後、ベンチャー企業へのハンズオン投資を行う企業に入社。副社長として、 投資案件の選定・事業育成・売却に至るプロセス全般を統括。投資先であるジュエリー・ブランドのリユース・リフォーム事業を行う企業の代表取締役に就任。日本初ジュエリー・貴金属のアセットマネジメントを行う企業にリモデル。主要百貨店やSCに22店舗を構え、10万人の会員規模に成長させた。ジュエリー資産の活用の啓蒙活動にも尽力。主要経済誌等に発表した論文・講演等多数。
現在も、リユース・ジュエリー業界での企業経営経験、人材採用・育成経験を活かし、複数企業のアドバイザーとして活躍するとともに、当社の取締役として採用支援に従事している。