求職者から選ばれるためのキーワード「キャリア開発」

こんにちは、AMBソリューションズの藤野です。新卒の採用が佳境を迎えています。コロナも落ち着き、面接方法もオンラインから元の対面に、あるいはオンラインとリアルのハイブリッドに戻す企業が増えました。売り手市場と言われて久しい新卒市場ですが、企業が選ぶ側から選ばれる側になっているという点では、新卒に限らず中途採用も同じです。今回は、「人的資本経営」や「キャリア開発」といった最重要キーワードも絡めて、選ばれる企業になる大切さとリユース業界の成長の可能性について考えました。

急成長を続けるリユース業界の最大の課題は人材不足です。経営者の皆さんからは、「人の量も質も不足している」「人さえいればもっと成長できる」ということをよく聞きます。

話題のChatGPTを含めてAIの進化が人手不足のリユース業界の大いなる助けになることことは間違いないですが、タイミングとしてもう少し先なのと、すべての職種の人手不足をAI等のDXが解決できるわけではありません。当面は人の確保が成長の最大のエンジンであることは、多くの経営者の皆さんの認識通りだと思います。

優秀な人材が持続的に働きたいと思ってくれる企業に自社がなれば、成長は約束されています。経営者が一から十まで指図する必要なく、むしろ従業員が気づきを与えてくれる。仕事もどんどん自主的にこなしてくれる。人件費が相当かかるのでは?という不安が想定されますが、生産性が高い人材、企業全体に良い影響を与える人材であれば、年収が数百万円程度高いのはむしろ当たり前で、それくらいのコストを十分賄えるくらいの価値を企業に与えてくれます。

言い方を選ばずに言うと、値段が高ければ高いほど性能が良い、のは人も設備も同じです。優れた設備を導入すれば、付加価値の高い商品を作ることができる、あるいは、コストを下げて大量生産ができます。そして、設備投資は十分に回収できます。人にかかるお金も、できるだけ抑えるべき経費として捉えるのではなく、高性能の設備投資をすればするほど企業の競争力が高くなる資本財と同じに位置付けるのが「人的資本経営」の本質です。そしてそういう企業こそ、就業者から選ばれる企業になれるのです。

人的資本経営を実践するにあたって、企業が人事実務上取り組まなければならないポイントが「キャリア開発」です。スタッフ一人ひとりが、中長期的にどういう職務、知識・スキルを身に着けていくのか計画して、企業として一人ひとりのスタッフの成長を全力で支援する。企業が主体で、従業員は企業の目的達成のための手段という考え方から、従業員がモチベーション高く自律自立して当該企業のビジョンやパーパス達成に向けてスキルアップすることの結果、労働生産性が格段に高まり、企業業績も伸びるという考え方に転換する必要があるのです。いわば180度異なる発想とも言えます。従来の考え方に染まっていると、ちょっと勇気がいる発想転換になります。踏みきれない経営者が大半かもしれません。まさにここが企業成長の分れ目で、一歩踏み出す経営判断が将来を決定づけるんだと思います。

立場を代えて、就業者目線に立つと、キャリア開発に真剣に取り組む企業とそうでない企業とでは、魅力に天地の差が生じるといえます。優秀な人材は、間違いなく自分の可能性を引き出してくれて成長を手伝ってくれる企業を選びます。少子高齢化で就業者数が減るということは、優秀な人材もこれまで以上に限られるということです。そんな優秀な人材を取り合うにあたって、無為無策では採用をギブアップしているといっても過言ではありません。

では、具体的に「キャリア開発」を積極的に行うということは、何をすればよいのかということです。実務的には「報酬」「評価」「教育」「人材配置」の四点について、優秀な人の立場になりきってこの企業で働きたいと思える仕組みを導入することになります。先見的な経営者、グローバルな競争にさらされている業界の経営者、生き残りをかけている経営者などはすでに着実に手を付け始めています。次回は手が付けやすいキャリア開発の事例をご紹介したいと思います。

最後に、既存の様々な業界と今後の伸びしろのあるリユース業界、どちらがキャリア開発を実践しやすいでしょうか。もちろんリユース業界ですね。日本の従来の慣行である年功序列・終身雇用に縛られている企業は、既存の社員が多くいる関係で、なかなか思い切った手を打てません。プロパー社員が多すぎることも弱点になります。働くことに対する考え方が相対的に熟している転職者が主体の企業の方が一般的に改革はやりやすいです。今在籍している社員数より、これから成長するにあたって採用する社員数の方が多いことが想定される経営者の方は、直ちにキャリア開発に真正面から手を付けるべきです。

リユース業界全体の発展を願う私としては、できるだけ多くのリユース業界の経営者の方々がキャリア開発に向き合うことで、他の業界の多くの優秀な人材がリユース業界に魅力を感じて、どんどんリユース業界に転職してくることを実現していきたいです。経営者の皆様のご賛同、お問い合わせをお待ちしています。

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